【雇用調整助成金2020年5月19日版】20人以下の事業所は更に簡素化!?助成額算定の落とし穴

コロナウィルスの広がりを受けて、「雇用調整助成金」の制度が拡大されてきました。

 

また、制度の難解さや提出書類の多さを受けて、数度にわたり提出書類の簡素化も 試みられてきましたが、ここで最新版をお伝えしようかと思います。

 

従業員が概ね20人以下の事業所に対しては、更に簡素化された申請用紙で、助成額の計算方法も分かりやすくなったものが出ていますが、本来の計算方法の方が助成額が高く出る可能性もあります。

 

これから申請をお考えの方は、記事を読み進めてみて下さい。

 

「雇用調整助成金」の制度についての詳しくは、こちら⤵の記事をご覧ください。加筆修正してあります。

www.kataseumi.com

 

助成額の上限も見直されるかも話題となっていますが、2020年5月19日時点では、一人当たり1日8330円が上限です。

今後15,000円程度になると噂されています。

助成額の算定については、従来の方法と比べてみた方がいいですよ。

  

2020年5月19日版「雇用調整助成金」変更点

 

2020年5月19日、新たに「雇用調整助成金」の制度が簡素化されました。

また、従業員数概ね20人以下の事業所には、更に簡素化された申請用紙が用意され、専用のガイドブック(マニュアルという名前に変わっている)もできています。

 

提出書類は本来事業をしていれば、無いはずのない書類ばっかりなんですが、スケープゴードのように叩かれたせいか、半ばやけくそというか、『ここまでやるか』という内容のガイドブックが出来上がっています。

是非見てみてね。

 

 

「雇用調整助成金」は、コロナの影響で新しく創設された助成金ではありません。

昭和の昔からある歴史の古い助成金です。

だけど、その特徴から、余程のことが無い限りその名前が話題になる事はありません。

 

リーマンの時や震災の時にこの助成金を使った経験がある人から見れば、今回びっくりする位制度が拡大されています。

 

こんな事なら、始めから新しい給付金の制度を作ればよかったのにと思いますが、何故か雇用調整助成金に固執して、4回も5回も制度の変更がなされています。

これからそのあたりをまとめてみたいと思います。

 

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初回から計画届が不要に!

 

助成金というものは、事前に計画を出さないと使えないものがとても多いです。

国のお金の使い道を明瞭にするためです。

 

「雇用調整助成金」もそのひとつでしたが、コロナウィルスによる急激な経済の悪化により、6月30日までは、計画を後から出してもいい事になっていました。

 

ところが、2020年5月19日より、初回も含め、計画届の提出が不要となりました。

 

もう、拡大期間中(1月24日~6月30日)なら、急な休業になっても実績のみを申請すればいいことになっています。

 

申請には、決まった様式と、休業を証明するためのものと、休業手当を支払った事がわかる書類(賃金台帳や出勤簿・タイムカード・契約書等)が必要になります。

 

 

申請期限が延長された 

 

「雇用調整助成金」の本来の申請期限は、休業が終了した翌日から2カ月間です。

 

例えば・・

 

4月1日~4月30日迄の休業の申請期限は、5月1日~6月30日です。

 

でも、拡大期間中に限り、申請の期限が大幅に猶予されています。

 

支給対象期間の初日が令和2年1月24日から5月31日までの休業の場合、申請の期限は令和2年8月31日までと、大幅な延長となっています。

 

コロナが猛威を振るい始めた1月24日から休業をしていたとしても、8月31日まで申請ができるという事は、通常の申請期限より、3カ月も4カ月も余裕があるという事になりますね。

 

小規模事業主の申請手続き簡略化

 

先ほど少し書きましたが、概ね20年以下の事業主用に、申請用紙や助成額の算定方法が簡略化されています。

 

「雇用調整助成金」のイメージとして、『従業員に支払った休業手当の80%ないし94%が助成金として戻ってくる(一定の条件を満たすと100%・上限あり)というのがあると思うのですが、実際の計算は、別の式を使います。

 

ただ、この方法が分かり辛いという事で

「実際に休業手当として支払った金額 × 助成率」

という計算方法でも、申請できるようになりました。

但し、これには大きな落とし穴があります。

 

それについては後述しますので、最後までご覧ください。

 

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その他の変更点等

 

大きな変更点は以上ですが、その他にも、年間の所定労働日数の算定が簡素化され、任意の1カ月をもとに計算してもよくなったり、「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて、1人当たりの平均賃金額を算定できるようになりました。

 

所定労働日数とは・・・

 

所定労働日数とは、従業員が契約している労働日数の事です。

 

正社員なら多分、1カ月20日~25日というのが多いですよね。

パートさんなどの場合、週4日とかになると思いますが、この数を全て足し上げて、従業員数で割ったものが、助成額算定書に記載する所定労働日数です。

(従業員全体の平均を出すイメージです。なので、出番の少ないアルバイトがいるような場合、所定労働日数は正社員のみの数字より少なくなります。)

 

詳しい計算方法は、助成額算定書の裏に記載されていますので、そちらをご確認ください。

 

 

その他にも、「休業実施一覧表」に労働者代表の署名があれば、協定書の提出も省略可能となっています。

 

※ 協定書について・・

協定書は、従業員の代表者と会社で取り決めた、休業手当の支払い率や計算方法等を、記したものです。

簡素化で不要となってはいますが、会社と従業員の後々のトラブルを防ぐためにも念のため協定は結んでおいた方がいいと思いますよ・・。

 

また、オンライン申請が5月20日より開始予定でしたが、不具合により現在は受けつけできなくなってます。

 

☞ 令和2年5月19日 報道発表資料 |厚生労働省

 

簡単になった助成額の算定に注意

 

さて、簡単になった(と思われる)助成額の算定ですが、これにはちょっと落とし穴的なトラップがあります。

 

基本、会社が支払った休業手当の80%から94%が助成金として戻ってくるシステムですが、本来、「雇用調整助成金」の助成額の算定は、事業所が申告した、労働保険料の払込票から金額を割り出すようになっています。

 

本来の助成額の算定方法

 

労働保険料の払込票には、会社が1年間に支払った、賃金総額が書かれています。

(この金額をもとに、労働保険料が決まります。)

 

① 払込票に書かれた賃金総額をもとに、年間の所定労働日数と労働者数を使って会社全体としての平均賃金を出します。

 

② ①の平均賃金に、協定した休業手当の支払い率を掛けます。(基準賃金)

 

③ ②の数字に助成率を掛けたものが、助成額となります。

 

 

ここで算出した助成額は固定となり、誰を休ませても、一人当たり同じ金額で助成額が算定されます。

 

雇用保険がかかる人なら、賃金が高い人も安い人も、フルタイムの人もパートタイムの人でも、1日休業すれば同じ金額が適用になるわけです。

 

1日単価が15000円のフルタイムの人でも、5000円のパートさんでも、1日休業したら同じ金額で計算されます。

 

 

確定保険料の申告書に記載される賃金総額は、ボーナスや残業代、交通費諸々が含まれますし、その中には役職付きの、お給料が高い人の分も含まれます。

なので、本来の計算方法で助成額を算定すると、高い金額が出やすいのです。

 

 

という事は・・・。

 

仮に会社の助成額が上限の8330円だとしたら、1日単価5000円の人を休ませた場合、3300円会社のオトクになっちゃうわけです。

 

正社員の他に、アルバイトやパートなどを雇用していた場合、パートさんとかアルバイトを優先的にお休みさせますよね、普通に考えて・・。

 

一方、小規模事業主用の簡素化された算定方法の場合

 

※ 「実際に支払われた休業手当」×「助成率」

 

となり、一見計算は簡単そうですが、ほぼ間違いなく会社の持ち出しが発生します。

また、数字さえ出てしまえば、従来の計算方法を使っても、そんなに難しくは無いのです。

 

今現在は助成額の上限が8330円なので、給与単価が高い会社の場合そこまでのオトク感 はありませんが、もしも15000円に助成額がアップした場合のことを考えると、どちらで申請するのかは、考えた方がよさそうです。

 

余談ですが、上限額の1日8330円は、一人につきです。

同じ日でも、3人休ませれば、その日の助成額は24,990円です。

 

2020年5月19日版雇用調整助成金まとめ

 

今日の記事は以上です。

  

制度が難解だ、助成額の算定方法が難しい等さんざん言われ続けた「雇用調整助成金」ですが、そこに持ってくる数字の根拠が伝わったでしょうか。

さすがに今どき1日一人8330円は少ないとは思いますが、それなりに考えて作られてはいるのです。

 

難しいと言われる助成金ですが、実は、今はそんなに難しくはありません。

簡素化以前のものも、書類さえそろっていれば、そんなに難しくもないのです。

 

「雇用調整助成金」は、政治をたたくのに上手く利用されたみたいで、ニュース等でも切り取られた情報ばかりが先行し、不満や不安をあおるように扇動しているように見えます。

 

この制度の事を知らない政治家が発した、間違った内容のSNSでも、かなりの反応がありました。

 

今回の算定方法の簡素化も、誤解による苦情が多かったため、イメージ通りの計算方法が導入されたのかもしれません。

だけど、それが却ってデメリットにもなっている可能性があります。

 

自分の身を守ることができるのは自分自身ですが、正しい情報も、身を守る盾となります。

雇用調整助成金の事を調べてこのブログに辿り着いた方は、厚生労働省のHPなどで、確認してみて下さいね。

 

少しづつ休業要請も解除され始め、街は落ち着きを取り戻しているようにも見えます。

このまま終息してくれる事を祈ってます。

 

 

それではまた。